RÉOUVRIR LES ÉGLISES : POUR QUOI FAIRE ?
公開ミサの再開:何のために?
外出制限解除に関する フランス政府首相の発表 に対して,フランス[カトリック]司教協議会は 4月28日付の声明 において 批判的な反応を示した.信教の自由の名において,司教たちは,公開ミサの再開は 6月02日以降になることに対して,遺憾の意を表明した.そのような声明の時宜性について,我々は自問する.
なぜ 現在の新たな行動制限のなかに 信仰生活に対する障碍をしか見ないのか? むしろ,この長期にわたる行動制限は,好機ではないか ? 神に対して捧げられるべき真の礼拝を再発見する好機,聖体拝領 — パンの分かち合い — の深い意味を再経験する好機.福音は,非難するのではなく,存在事象に対して肯定的なまなざしを向けるよう,我々を誘っていないだろうか? 神は,この世の出来事をとおして,我々に語りかける.その徴を読むのが,我々の仕事である.嘆くのではなく,より遠くをまなざそう!
然り,我々が経験しつつあるこの危機は,キリスト教にとって ひとつの好機 — キリスト教が,十全たる家庭的次元を再発見し,そして,人間の脆さという恵みを創造的なしかたで生きることを受け入れるための好機 — であると思われる.チェコの司祭,神学者である Tomáš Halík が述べているように,「我々は,今 我々が経験している 公開ミサの中止や教会機能の停止を,ひとつの καιρός として — 立ちどまって,神の前で,神とともに,徹底的な省察に取り組む好機として — 受け取るべきだろう」.目下の「緊急事態」は,教会の新たな顔を明かすことになる.
COVID-19 の全世界的流行下,クリスチャンたちは,論争から遠く離れたところで,新たな形の共同体生活を発明している:多数のミサ中継のまわりに集まること,祈りと福音の分かち合いのグループのヴィデオ集会 — そこにおいては,家庭礼拝の必要性と個人的内面の濃密性が現れ出てくるのが うかがえる.フランス人たちすべてと同様に,カトリック信者たちも,数多くのつながりとさまざまな連帯の自発的動きのなかで,兄弟姉妹的な奉仕を継続している.
共同体のなかで互いを見出し合うということは,信仰の構成要素である.だが,如何なる礼拝を 如何なる神に 献げるために? 聖体拝領において,クリスチャンたちは,Christus の死と復活を記念する.彼が命を捧げたことを記念する.同じ動きにおいて,クリスチャンたちは,兄弟姉妹に対する奉仕に絶対的な優先順位を与える.かかわっているのは,内面性と行動とを結びつけることであり,戦いと黙想とを結びつけることである.かつて,Abbé Pierre は,カトリック信者たちを激しく非難した:あなたたちにとって,Christus の存在は ホスチアのなかでは「実在的」であるが,貧しい者のなかでは「象徴的」であるにすぎない — 福音書において Jesus は貧しい者に同一化しているにもかかわらず.
精神性[spiritualité : 神の息吹に与ること,神の息吹にかかわること]は,今,信仰を基礎づけなおすときにおいて,重要な座を占めている.「非信者」や「未信者」という否定的な用語を棄てて,我々と同じ時代を生きている人々の精神的な志向の多様性を認めよう.確信や信念や信仰を分かち合うためには,各共同体が それぞれ 理解しあえ,信頼し合えるものとなるよう,工夫する必要がある.
カトリック信者の言説の多くが 我々の同時代の人々には異様なものに見える,ということを,認めねばならない.より重大なのは,聖職者による児童に対する性的虐待の事件を前にしての沈黙と,我々の教会の自己改革の遅さである.透明性と整合性と真理性の要請について,カトリックの各共同体は,新たに教会に集うことができたとき,如何に自問するだろうか?
カトリック共同体の機能のしかたの幾つかの側面についても,我々は問うてよい.小教区においても,教区においても,より「ともに歩む」しかたで進んで行くためには,いかなる手段を採用すべきか? さまざまな司牧の仕事(現存するものも,新たに作られるものも)を いかに よりよく連関させるか? いかに 女性たちが共同体の意志決定によりよく参与し得るようにするか? 司祭の役割について どう考えるか?「神聖」なものとの関係,儀式との関係は如何? 典礼をめぐって,如何なる議論が可能か?
古い神学的,司牧的アプローチのなかに閉じこもったままでいないようにしよう.壁のなかに引きこもったままでいないようにしよう.傷ついた世界へ出かけて行く道を歩み出そう — 我々の教会を,「真理」を閉じ込めておく要塞にするのではなく,開かれた自由の場所,まことに開放された場所にするために.
2020年04月29日
(ルカ小笠原晋也 翻訳)
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